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2026.08.22 · microconf.com

Agnese Jaunošāneが実践した、広告費ゼロで30万超ユーザーを掴む方法

Agnese Jaunošāneは、ラトビア発のAjelixを共同創業し、少人数・自己資金でAIスプレッドシート領域を伸ばしてきた起業家だ。広告費に頼らず、ユーザーの要望を起点に機能を磨き、Excel補助ツールから“仕事を実行する”AIワークスペースへと進化させた流れは、B2B SaaSの有機的成長を考えるうえで示唆が大きい。

運営中
月商
非公開
事業種別
SaaS
業種
生産性/汎用
集客チャネル
SEO

※ 数値は記事公開時点(2026.08.22)の公開情報に基づく調査結果です

概要

Agnese Jaunošāneは、Ajelixの共同創業者兼COOとして前面に立つ起業家で、2026年のMicroConf Europeでは「広告費を使わずにAjelixが30万規模のユーザー基盤を築いたプロセス」をテーマに登壇予定と案内されている。イベントページではAjelixの伸びを、ブートストラップSaaSの文脈で語る人物として位置づけている。

Ajelixは当初、ExcelやGoogle Sheets向けの数式生成やデータ整理を助けるAIツール群として広がった。その後、Google Workspace上で動くAIエージェントへと拡張し、スプレッドシートだけでなくDocs、Slides、Formsでも作業を自動実行する方向へ進んでいる。2026年時点の掲載情報では、Ajelixは150カ国超・30万人超の利用実績を打ち出している。

Agnese本人の発信からは、創業初期に大きな資金調達へ走るより、ひたすら出荷と改善を繰り返してきた姿勢が見える。2025年秋の投稿では、長い試行錯誤の末にアクセラレーター参加を機にロードマップと狙う顧客像を明確にし始めたと述べており、勢い任せではなく、後から戦略を言語化していくタイプの創業者像が浮かぶ。

ビジネスモデル

Ajelixの中核は、業務でスプレッドシートやドキュメントを扱う担当者向けのSaaSだ。Google Workspace Marketplaceの説明では、ユーザーが指示するとAIがGoogle Sheetsの分析、レポート作成、Apps Script実行、Slides作成、Docs執筆などを代行する設計になっている。つまり「AIが答えを返す」だけではなく、「成果物まで仕上げる」ことを価値提案の中心に据えている。

収益化の構造は、無料導線を持ちながら有料プランへアップセルするプロダクト主導型に近い。外部の価格掲載ページでは無料トライアルやユーザー課金ベースのプランが確認でき、Ajelix自身もセルフサーブ型での導入を取りやすくしている。創業チームは、まず多くの実務担当者に試してもらい、その利用データと要望を機能改善へ戻す回路を回してきたようだ。

また、Agneseの投稿では、次の成長段階として「スプレッドシートで業務を回している企業」と「それを支援する専門サービス会社」をつなぐ構想にも触れている。ここから見ると、Ajelixは単なる便利ツールではなく、業務運用の置き換え先としてプロダクトの役割を拡張しようとしている。

収益規模

公開されている月商やMRRの明確な数値は確認できなかった。

一方で、ユーザー規模については複数の情報源で大きな数字が見える。MicroConf EuropeのページではAjelixの事例が「300K users without spending a dime on ads」という文脈で紹介され、Google Workspace Marketplaceでも「300,000+ professionals across 150+ countries」と記載されている。2026年8月配信のポッドキャスト紹介文では、340,000 usersという表現も使われていた。

そのため、少なくとも利用者基盤はかなり大きい。ただし、無料ユーザー比率や有料転換率が明かされていないため、売上の絶対額までは読み切れない。創業者が freemium pricing の難しさに言及している点を踏まえると、ユーザー数の大きさがそのまま高収益を意味する段階ではない可能性もある。

学べるポイント

Agnese Jaunošāneの動きから学べるのは、広告より先に「繰り返し使われる作業」を見つける重要性だ。Ajelixは華やかな新市場を作ったというより、Excelやレポート作成の面倒さという古くて重い課題に張りついた。だからこそ、検索流入や口コミでも試されやすく、プロダクト主導の拡散と相性がよかったと考えられる。

2つ目は、ユーザーの要求に合わせて提供価値を更新した点だ。Ajelixは数式生成ツールから始まりつつ、のちに「説明するAI」ではなく「実行するAI」へ軸足を移した。これは単なる機能追加ではなく、ユーザーが本当に欲しいのは助言ではなく完成物だ、と解釈し直した結果だろう。

3つ目は、少人数でも勝てる市場の切り方である。Agneseは一人マーケに近い体制で有機的成長を進めた実績が評価されており、Momentumの2025 GTM AI Awardsでもその点が紹介されている。大きな広告投下が難しいチームでも、ユーザー理解と継続発信、プロダクト改善の往復で十分に戦えることを示している。

日本での再現可能性

再現性はある。ただし、そのまま真似しても成功しにくい。

日本でも、ExcelやGoogle Sheetsが業務の中心に残っている中小企業、バックオフィス、営業管理、経営企画の現場は多い。そこに対して、AIでレポート作成やデータ整理を短縮する提案は通りやすい。特に「既存業務を全部入れ替えなくていい」「今のシート資産を活かせる」というメッセージは、日本市場でも強い。

一方で、Ajelix型モデルを日本で再現するには3つ条件がある。第一に、業務に深く入るユースケースを選ぶこと。第二に、無料流入を集めやすい単機能ツールやテンプレートを入口に置くこと。第三に、利用者の声をもとに、単なる補助ツールから業務実行ツールへ段階的に広げることだ。

逆に難所は、サポート期待値の高さと導入時の説明責任である。日本企業は自動化そのものより、ミス時の責任や運用の安定性を重視しやすい。したがって、Ajelixのような“エージェントが仕事を完了する”価値提案を持ち込むなら、最初は財務集計、定型レポート、社内資料下書きなど、失敗コストを抑えやすい領域から始めるのが現実的だ。

出典

コメント

Agnese Jaunošāneの面白さは、派手な資金調達や大規模組織の物語ではなく、地味な実務課題を起点に30万超の利用基盤まで積み上げた点にある。しかも途中で「数式を助けるツール」から「業務を終わらせるAI」へと再定義しており、プロダクトの芯を保ちながら見せ方を変えている。日本でも、AIスタートアップが広い理想を語る前に、こうした現場の反復作業へ深く刺す設計から入る余地は大きい。

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